鮭とサーモンは、私たちの食生活に欠かせない魚ですが、実際にはどのように違うのでしょうか？「鮭と言えば塩焼き、サーモンと言えば刺身や寿司」というイメージが一般的かもしれませんが、実際にはその背後に深い違いが隠されています。
今回は、鮭とサーモンの違いを詳しく解説し、その特徴や使い分けについて見ていきましょう。
鮭とサーモンの基本的な違い
まず、鮭は日本語で「鮭」、英語では「salmon（サーモン）」と呼ばれています。一見同じ魚のように思えますが、実は生育環境の違いで呼び方が変わることが多いのです。
簡単に言うと、「鮭」は天然で育ったものを指し、「サーモン」は養殖で育てられたものを指すのが一般的です。
具体的には、天然の鮭は河川に遡上して産卵するもので、秋鮭（白鮭）などが代表的です。一方で、サーモンは主に養殖の魚を指し、トラウトサーモン（養殖のニジマス）やアトランティックサーモン（養殖の太平洋サケ）が該当します。特に海外から輸入されるノルウェー産やカナダ産のサーモンは、この養殖サーモンが多いです。
天然の鮭について
「天然の鮭」は、日本では主に白鮭や秋鮭などが知られています。これらは海で成長し、産卵のために川に遡上する魚で、日本の伝統的な食文化の中でよく使われています。
白鮭は特に秋に漁獲され、塩焼きやホイル焼き、さらにはフレークに加工されることが多いです。
天然の鮭は生で食べることは推奨されません。アニサキスなどの寄生虫が含まれている可能性があるため、必ず加熱して食べることが推奨されます。鮭の塩焼きや鍋物に使われることが多いのはこの理由からです。
養殖のサーモンについて
一方で「サーモン」とは、主に養殖された魚を指します。ノルウェーやカナダなどから輸入されるアトランティックサーモンや、養殖ニジマスを指すトラウトサーモンが有名です。
養殖サーモンは餌に抗生物質を混ぜて管理されており、一定の基準を満たしているため、生で食べることが可能です。そのため、刺身や寿司としての使用が一般的です。
また、養殖サーモンは冷凍処理されることで、アニサキスなどの寄生虫のリスクが低減されます。アニサキスは、70℃以上で加熱するか、-20℃以下で24時間以上冷凍することで死滅するため、寿司屋で提供されるサーモンは冷凍処理されたものが多いのです。
鮭と鱒の関係
鮭とサーモンの違いについて調べると、興味深いことに「鱒（マス）」という魚も登場します。実は、サケ目サケ科に分類される魚には「鮭」も「鱒」も含まれており、両者の違いは明確ではありません。
例えば、トラウトサーモンは淡水魚のニジマスを海で養殖したものであり、サーモンの一種として市場に出回っています。
また、ヤマメやイワナなど、淡水で一生を過ごす魚は「トラウト（鱒）」として分類されますが、河川で産卵し海に出て成長する魚は「サーモン（鮭）」と呼ばれることが多いです。
こうした区分は、日本だけでなく英語圏でも使われており、鮭と鱒の違いは曖昧ながらも文化や習慣によって使い分けられています。
鮭・サーモンの料理の使い分け
料理においても、鮭とサーモンの使い分けが重要です。例えば、鮭は塩焼きやフライ、ムニエルなど、加熱調理が基本です。
天然の鮭は脂肪分が少なく、さっぱりとした風味が特徴で、日本の伝統的な料理に使われます。
一方で、サーモンは脂がのっていて、身が柔らかいため、刺身やカルパッチョなどの生食が一般的です。養殖サーモンの方が、脂が豊富でジューシーな食感が楽しめるため、サーモン寿司は多くの人に愛されています。逆に、鮭は淡白な味わいが特徴で、日本の食卓では定番の一品として親しまれています。
鮭・サーモンの色の違い
鮭とサーモンの特徴的な点として、身の色も挙げられます。
鮭は白身魚に分類されますが、食べる餌に含まれるアスタキサンチンという色素により、身がピンク色になります。アスタキサンチンはエビやカニなどの甲殻類に含まれ、これを摂取することで鮭やサーモンの身が赤みを帯びるのです。
一方、アスタキサンチンを摂取しない鮭やサーモンは、白いままの身を持つこともあります。こうした色の違いも、食材選びの際に知っておくと役立つポイントです。
まとめ
鮭とサーモンの違いは、主に「天然」か「養殖」かによるものですが、調理法や生育環境によっても違いが生じます。
鮭は日本の食文化に根付いた伝統的な魚であり、塩焼きや鍋物など加熱して楽しむのが一般的です。一方、サーモンは養殖が主流であり、刺身や寿司など生食で親しまれています。
このように、鮭とサーモンはその呼び方や調理法、利用シーンに違いがありますが、いずれも美味しい魚であることに変わりはありません。鮭やサーモンの違いを知ることで、料理の幅が広がり、より一層楽しめることでしょう。
